【ピスコ(ペルー南部)=飯田達人、リオデジャネイロ=中島慎一郎】南米ペルーの太平洋沖で発生した大地震は、国連人道問題調整事務所(OCHA)の16日の発表によると、死者が約450人、負傷者が少なくとも1500人に達し、被害が拡大している。

 市内の7割が壊滅した同国南部イカ州ピスコでは16日夜、がれきの山と化した市街で遺体が道に放置され、野ざらしで救助を待ち続ける市民らが不安な表情を見せていた。

 ぶどう栽培とぶどうの蒸留酒「ピスコ」で知られるのどかな農村は、あちこちで教会や家が倒壊し、家を失った市民たちは余震を恐れ、屋外でたき火をたいて夜を明かしていた。

 「ピスコは壊滅状態だ。何百世帯もの市民が家を失い野宿している」

 フアン・メンドーサ市長は16日、地元ラジオ局で被害状況を訴えた。

 同市内のサンクレメンテ教会では地震発生当日の15日夕、市民数百人がミサに参加していたが、教会は地震で完全に崩壊した。がれきが道をふさぎ、救急隊などによる救助活動も難航している。被災者は野外に寝泊まりし、病院では停電のため暗闇の中で治療が行われている。通りには収容しきれない何十体もの遺体が無造作に並べられている。

 一帯の住民の生活は貧しく、「アドベ」と呼ばれるれんが造りの簡素な家に暮らしていたことから被害が拡大した模様だ。

 ガルシア大統領は16日、ピスコを視察し、「高速道路が寸断されているため、援助の到着が遅れている」と述べ、救援活動が難航していることを明らかにした。崩落した橋の復旧作業などを急ピッチで進めているが、首都リマに向かう幹線道路は渋滞して車の移動もままならない。

 世界的観光地「ナスカの地上絵」への経路である同州中部イカでは、死者260人以上に達する最大の被害が出ている。また、同州北部チンチャの当局者は16日、地震で刑務所の壁が崩壊し、受刑者600人以上が逃亡したことを明らかにした。これまでに約30人が拘束されたが、残りは行方不明という。

 米政府は16日、10万ドル(約1100万円)の緊急援助を表明。ブラジルやアルゼンチン、ベネズエラ、メキシコなどの中南米各国も支援を申し出ている。

(2007年8月17日11時29分 読売新聞)
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